回覧板って、まだ手渡しなの?区長経験から始まった「デジタル回覧板」への挑戦
- 西森一博
- 6月15日
- 読了時間: 3分
令和7年5月からデジタル回覧「どこでも回覧」を村内で開始しました。
どこでも回覧 https://dokodemokairan.jp/
こんにちは。今日は私が区長を経験したことをきっかけに始まった「回覧板のデジタル化」についてお話ししたいと思います。
初めて回覧板を“回す”立場になって
令和4年度に区長を務めたとき、初めて「回覧板を回す側」になりました。そのときの感想は、正直こうでした。
「めんどくさい……」
紙を配って回すって、まだこんなことしてるんだ?LINEやアプリを使えば一発で済むのに、なんでこれがデジタル化されてないんだろう?本当に不思議でした。
デジタル化したくても、手が回らない現実
当然、「これをなんとかデジタル化できないかな?」と考えました。でも実際、区長の仕事は忙しくて、回覧板の仕組みまで手をつける余裕がない。
住民にアンケートを取るのがせいぜいで、そこから先に進めませんでした。
ここで実感したのは、**「区長だけで回覧板のデジタル化を進めるのは無理だ」**ということ。
他の役員は、区長ほどこの作業の大変さを実感していない。だから話がなかなか噛み合わないんです。
議員になって再燃した想い
令和5年、村議員となったことで、また回覧板のことを思い出しました。他の区長さんに話を聞いてみると、やっぱり皆さん同じように「大変だった」と言うんです。
そしてちょうど、私は「自治会検討委員会」にも入ることになり、そこで回覧板のデジタル化が議題にのぼりました。
アプリ開発の壁
最初は「専用アプリを作ればいいんじゃない?」と思って調べました。でも、すぐに現実が見えてきます。
アプリは高額
セキュリティ対策でさらにコスト増
ログインが面倒で利用者が少ない
高いお金をかけて作っても、使ってもらえない。これでは行政もなかなか踏み切れません。
シンプルに「見るだけ」でよくない?
そこで考え方を変えてみました。
「情報を見るだけなら、もっと簡単にできるんじゃない?」
・ログイン不要・登録不要・最低限のセキュリティ
これならシンプルで誰でも使えるし、コストも安く済みます。
WIXでテストしてみた
令和6年度、WIXを使って、地区限定で試験的にデジタル回覧板を作ってみました。実際にやってみると、予想以上にメリットがありました。
回覧が遅れても、内容をすぐ確認できる
過去の情報もすぐに見返せる
行事の日時など、忘れてもあとから見られて安心
逆にデメリットは「情報を入力する手間が少しある」くらいでした。
本格化へ向けて
1年ほどテストを続けて、「これはいける」と確信。令和6年秋には、商工会に相談して、ボランティアで開発できそうな方とつながることができました。
そして令和7年2月、本格的にWordPressで制作スタート。スマホでもパソコンでも見やすい、2回タップで情報にたどり着けるシンプルな設計を目指しました。
今では、細かな改善を重ね、実際に「2タップ」で目的の回覧情報が見られるようになっています。
なぜ行政ではできないの?
よく聞かれるのが、「なんで行政ではやれないの?」という質問。
答えはシンプルです。
開発費が高すぎる
管理・運用する人材がいない
そこまでの必要性を感じていない
また、LINEやメールでは情報が流れてしまったり、埋もれたりして、必要なときに見つけにくいという欠点があります。一方で、専用アプリは登録が面倒だし、インストールしてもらうのもハードルが高い。
少しずつ、未来へ
デジタル回覧板にしたからといって、すぐに劇的に便利になるわけではありません。
でも、使ってみると「これ便利だな」「助かるな」と思ってもらえる場面が確実にあります。
その小さな「便利」を、少しずつ積み重ねていけば、いつか本当の意味で「回覧板はもう紙じゃないよね」という時代が来るかもしれません。
そんな未来を想像しながら、これからも地道に取り組んでいきたいと思っています。
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